ASD(自閉スペクトラム症)を持つ女性が雑談を苦手とする理由には、ASDの3つの主な特性である「社会的コミュニケーションの障害」、「こだわりの強さ」、「感覚過敏や感覚鈍麻」が関係しています。本記事では、それぞれの特性が雑談にどのような影響を与えるのか、当事者である私の具体的なエピソードや背景を交えて解説します。
ASD女子はなぜ雑談が苦手なのか?その理由と対策を当事者が伝授!
1. 社会的コミュニケーションの障害
ASD女子は耳からの情報を処理するのに時間がかかることがあり、会話のテンポについていけないということがあります。
このことは私個人の感覚の回答になるけど、多くのASD女子さんには、もしかしたら共感してもらえるかもしれません。
具体的にいうと、以下のような場面で雑談が苦手だと感じます。
会話の流れについていけない
話している内容を理解するまでに時間がかかり、やっと返答を考えたころには会話が次のトピックに移ってしまうことがあります。結果として、返答が遅れたり、焦って場違いな答えをしてしまい、会話がかみ合わなくなることがあります。
焦りが不自然な反応を生む
雑談の場では即座に反応を求められることが多いですが、情報処理の時間が必要なため、焦りから「とんちんかんな答え」や「的外れなコメント」をしてしまうこともあります。本人は会話を盛り上げたい気持ちで一生懸命なのに、周囲には「変わった人」「話が合わない人」と思われてしまうことがあります。
2. こだわりの強さ
ASDの特徴である「こだわりの強さ」は、雑談の場面では以下のようなことを感じています。
自分の興味のある話題に偏る
興味のあるテーマや得意な分野については熱心に話せるけど、興味がない話題では話を続けるのが難しくなります。
例えば、自分の好きなファッションならいいけど、興味のないファッショに流行りの話を友達や会社の人達が話している会話に入ったとしても、どうやって興味を持っている風を装えばいいのか分からなくなります。健常者なら当たり障りなく、興味のない話も上手に会話のやりとりが出来る人が多いなら、ASDは好きか嫌いかの2択しかないため、その臨機応変な雑談がとてもストレスに感じています。
話し方が単調になる
また雑談で耳に入ってくる会話に追いつこうとするあまり、焦って頭に浮かんだ言葉をそのまま発言することがあり、抑揚のない話し方や簡潔すぎる表現になり、「冷たい」「きつい」「空気が読めない」と受け取られることがあり本人はますます人が苦手という意識が強くなることがあります。
3.感覚過敏・感覚鈍麻
感覚過敏や感覚鈍麻と一言でいっても、これも同じ発達障害の人でも程度が代わるのですが、共通して言えることは人が聞こえない音、人が感じない温度、人が感じない臭いなど敏感にするどく体と心全部でかんじることがあります。
敏感になっている時はこんなことが起きています。
感覚過敏の場合
周囲の雑音や複数人の声が一度に耳に入ると、それだけでストレスを感じることがあります。カフェのような雑談の場では、周りの音や照明が気になりすぎて、話に集中できなくなることもあります。
感覚鈍麻の場合
感覚が鈍いために相手の微妙な表情や声のトーンに気づきにくく、または気が付いて言えるけど、それがなんなのかを把握するのに時間がかかりテンポがずれることがあります。また健常者動詞が話している言葉や会話は難しく話題が変わったことさえ気が付けないことがあります。その結果、話題がかみ合わなかったり、会話が終わった後に「失敗したかも」と気づいて自己嫌悪に陥り、帰宅後一人反省会をしていることが多くなります。
境界知能との合併
ASD女子の中には、境界知能(IQが70〜85の範囲)を併せ持つ方もいます。これにより、発達障害の困難さと知能の低さにより会話の遅れが生じます。
また合併している人はさらに傷つきやすい人が多いです。また言いたいことが言えなくて解決できなくて、怒ってしまう人もいます。
何故なら
特に以下の場合の雑談は、特に疲れ切ってしまう事が多いです。
1対複数の会話
会話が複数人で進むと、話題が次々に切り替わり、脳内の処理が追いつかなくなることがあります。この結果、ただ笑って場をやり過ごすしかなくなり、周囲には「おとなしいけど話を聞いている」と誤解されることもあります。
HSP並みに繊細さがある
ASDは人の感情がはっきり分からない、くみ取れない障害があるけれど、境界知能の場合はHSPレベルで繊細に周りの顔色、声のトーンを感じ取ることが出来るためストレスが多くなり、疲れ果ててしまう人が多いです。
ASD女子が雑談を少しでも楽にするための工夫
- 話題の事前準備
あらかじめ使えそうな話題やフレーズを考えておくと安心感が増します。例えば、「最近の趣味は?」や「最近見た映画は?」といったシンプルな質問を用意しておくと会話が続けやすくなります。 - 静かな環境を選ぶ
雑音や刺激が少ない場所を選ぶことで、感覚過敏の影響を減らし、会話に集中しやすくなります。 - リラックスできる人と話す
信頼できる人との1対1の会話から練習を始めることで、自信をつけることができます。
まとめ
ASD女子が雑談を苦手とする背景には、社会的コミュニケーションの障害、こだわりの強さ、感覚過敏や感覚鈍麻といった特性が深く関わっています。しかし、工夫次第で雑談の苦手意識を少しずつ減らし、自分らしいコミュニケーションが可能になります。
ASD特性を持つ人たちが少しでも会話を楽しめるようになることを願っています。
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